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Last Updated 2000/7/25

質疑応答010

夏目漱石「草枕」と川端康成『雪国』:
非人情と徒労について

毛利美穂に対する質疑応答


■ 質問

hina:夏目漱石の「非人情」と川端康成の「徒労」を比較するなど思いにもよらない視点で、たいへん大胆な試みだと思います。非現実なものへの回帰がテーマと思われますが、同作家の作品間で比較するほうがよかったのではないでしょうか。

発表者:夏目漱石の「草枕」と川端康成の『雪国』を取り上げたのは、ほんの偶然でした。「草枕」を読み、「非人情」について考えた時にすぐさま『雪国』が思い浮かんだのです。当初は同じ漱石作品で比較する予定でしたが、どうしても『雪国』と比較したかったのは、その時の印象が強烈だからです。

匿名希望:明治と昭和、この二つの時代の作品を比較することは難しかったと思います。ご論において作者の類似点に結論を求めたのはその難しさのゆえでしょうが、せっかく「非人情」と「徒労」の概念について考察されたのですから、作品のテーマから比較されたほうがよかったのではないでしょうか。

発表者:確かに、作家の類似点を求めるよりも、作品のテーマにおいて追求したほうがより明確な論になったかと思います。ご指摘、ありがとうございました。

■ 感想等

hina:これまで結び付けることのなかった夏目漱石と川端康成を、作品に流れるテーマから共通点を見出し比較するのはたいへい興味深い試みだと感じました。

発表者:ありがとうございます。

■ 発表者から一言

貴重なご意見ご感想、ありがとうございました。近代文学は専門外なので思いつきからくる論でお見苦しい点も多々あったかと思います。今回お寄せいただいた方法論をもとに、さらに研究を深めていきたいと思います。

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