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Last Updated 2000/3/25

質疑応答006

仁徳の聖帝像:古事記を中心に

毛利美穂に対する質疑応答


■ 質問

匿名希望:記紀における仁徳天皇像の比較は、前回の論「仁徳紀再考」の後だけにたいへんおもしろい試みでした。それだけに、もう少し深められたほうがよかったのではないでしょうか。

発表者:覚書程度のものでしたので、きちんと結論を導き出せなかったのですが、まだまだ課題は残っています。ご指摘、ありがとうございました。

匿名希望:日本書紀の方がより儒教的な天皇像であるのに、古事記の構成から考えると、古事記の方が儒教的聖帝として特徴づけている、というご論ですが、なぜ、古事記の方がより特徴づけられているのか、もう少しご説明ください。少し混乱しました。

発表者:力不足で、申し訳ありません。説明いたします。日本書紀の仁徳天皇像は、より儒教的聖帝になぞらえられていますが、この儒教的理想的天皇像は書紀における天皇像に少なからず影響を与えています。それは、仁徳紀に際立ってあらわれていても、他の天皇紀にも見えるということです。一方、古事記では、仁徳以前にはまったく見られなかった民に対する姿勢が、仁徳記に集中して出ています。したがって、日本書紀・古事記それぞれの構成からみると、古事記の方がより仁徳と儒教的聖帝を結びつけていると結論を出したわけです。

匿名希望:構成という観点から見た場合、古事記の方がより仁徳と儒教的聖帝とを結びつけているのでしたら、構成以外の観点から考えるのもおもしろいのではないでしょうか。

発表者:たいへん複雑になると思いますが、それも必要ではないかと考えております。今後の課題にいたします。

匿名希望:前回(「仁徳紀再考」)の論では英雄的要素を考慮されていましたが、古事記においても、英雄像としての仁徳天皇をとらえるとおもしろかったのではないでしょうか。

発表者:英雄像はたいへんおもしろい観点です。今後の課題にいたします。

匿名希望:前回(「仁徳紀再考」)の質疑応答で、中国史書との関係にふれられていましたが、日中比較はやはり重要と思います。これまでのご論を拝見して、中国史料については苦手のようですが、挑戦されてはいかがでしょうか。

発表者:ご指摘、ありがとうございました。今後の課題にいたします。

■ 感想等

匿名希望:仁徳像といえば、記紀比較でも仁徳自身に焦点が当てられていたと思います。それを、構成からみるというのは、たいへんおもしろい見解と思いました。

発表者:ありがとうございます。

■ 発表者から一言

貴重なご意見ご感想、ありがとうございました。構成からみる仁徳天皇の記紀比較は、まだ明確な結論が出し得ていない状態と感じております。みなさまのご意見ご感想を参考にして、さらに研究していきたいと思います。

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