LILY-C.A.T.(1987)

Updated 2002/1/6

 シガニー・ウィーバー主演映画「エイリアン」に似たサスペンス「LILY-C.A.T.」(1987 スタジオぴえろ)。原案・監督は鳥海永行。声は、沖田浩之、勝生真砂子、山田栄子、榊原良子、玄田哲章など。
 巨大企業シンカムによる新惑星調査のため、惑星LAO−3に向かった宇宙船サルデス号。冷凍睡眠から覚めた6人のクルーに、同乗している探査員7名の中に身元を偽った者が2人紛れ込んでいるという報告が伝わった。しかも、その報告が途中で切られ、肝心の2人の身元がわからない。ニセ者はいったい誰なのか。混乱の中、次々と変死していくクルーたち。冷凍睡眠中にコンピュータが勝手に搬入したバクテリアがその原因らしい。そんな中、ジローがこの船に逃げ込んだ殺人犯であり、ディックが彼を追ってきた刑事であることが判明する。そして、コンピュータの真の支配者であるのが、社長令嬢ナンシーの連れてきた愛猫そっくりの、ロボット猫「LILY-C.A.T.」であることも…。会社は人間を信用せず、このロボット猫に惑星探査の命運を任せていたのだった。残った4人のクルーを、変死したクルーの変化した怪物が襲う。キャプテンはジローとナンシーをシャトルに乗せ、脱出させるのだった。

 宇宙での作業。それが当り前になった時代において、宇宙に出て行くのは「憧れ」や「夢」のためではなく、「悲しみ」を負うものであった。それぞれが、それぞれの「苦悩」や「悲しみ」を抱いて乗りこんだ船の中で、自分が自分であると証明することのむなしさを、クルーたちはニセ者探しの中で痛感する。ここにいる自分が、本当に現実の自分なのであろうか…。最後のジローの言葉は、重くのしかかってくる。いずれは現代の私たちも味わう苦悩かも???
 はっきりした色彩の、アメリカンタッチなキャラが、当時はとても新鮮。そして、OP・EDがやたらとかっこいい。