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Last Updated 2001/12/10

質疑応答022

日本書紀における夢と天皇(1):高倉下と神武天皇

毛利美穂に対する質疑応答


■ 質問

匿名希望:高倉下の夢を2つに分けたことはたいへん面白いと思います。ただ、高倉下の存在意義の解明を目的とされているようですが、ご論の進め方などいまいち説得力が乏しいようにお見受けします。

発表者:ありがとうございます。おそらく、書紀のおける夢の事例を丁寧に検討していくことによって、高倉下の存在もさらに明確になってくるのではないかと考えています。今回は神武紀だけを見ていったわけですが、夢に関しては神武と高倉下についてまだ気になる部分が残っているので、これは書紀全体を検討してから結論を出したいと考えています。

匿名希望:長谷川氏はタカクラジについて「神意を知る神人を示すのであろう」と述べており、毛利さんが氏の論について説明した「巫覡的人物」とは述べていません。そしてご論を拝見すると、毛利さんもタカクラジを「巫覡的人物」としてはとらえていないように推察しました。すると、長谷川氏と同様と見解と解釈してもよろしいのでしょうか。

発表者:長谷川氏の論について「巫覡的人物」と簡単に説明したのは、ちょっと軽率だったと思います。ご指摘ありがとうございます。そして、私も高倉下に関しては「巫覡的人物」というより「神人」として解釈する点においては氏と同様と考えていただいて結構です。ただ、氏は高倉という建物から見解を示されただけなので、氏の所論をさらにお聞きしたい気持ちでいっぱいです。

匿名希望:ご論を拝見すると、やはり天皇を援助する存在について課題が残されますね。

発表者:そうですね。その件については崇神紀を検討した際にだいたい見とおしがついたので、またいずれ論文化いたします。ありがとうございます。

■ 感想等

匿名希望:上代文学会の例会でご発表された「知」の問題に関連したご論のようで、興味深く拝読したしました。その時、鉄野先生がご指摘された「夢」との関係について、さらに毛利さんのご見解がまとまりますよう、願っております。

発表者:ありがとうございます。夢については以前も考察したのですが、今回、「知」の問題をからめて検討することによって新たな発見もありました。これもひとえに席上で貴重なご意見・ご指摘を賜ることのできたおかげであると、たいへん感謝しております。

匿名希望:夢に対する高倉下と神武の態度の違いを、「知」の問題と絡めて説明されたのはよかったのではないでしょうか。

発表者:ありがとうございます。今後も「知」の問題について考察していきたいと思います。

■ 発表者から一言

貴重なご意見ご感想、ありがとうございました。今後も同様のテーマで考察を進めていく予定ですので、たいへん参考になりました。今後も検討を重ねていきたいと思います。

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