質疑応答017
「幻影の盾」に見える影響
毛利美穂に対する質疑応答
→NO.017「「幻影の盾」に見える影響」
■ 質問
hina:「幻影の盾」がさまざまな文学・絵画と密接な関係を持っていたことがわかりました。その影響関係についてもっと詳しく考察されたほうがよかったのではないでしょうか。
- 発表者:今回の論は、数年前、初めて近代文学を扱い、まとめたものですが、当時、どのような影響関係が見られるか手探り状態だったことを覚えています。夏目漱石のみならず、当時の作家は外国文学の影響をかなり受けており、それをただ列挙するのではなく、影響の度合い等も考察できればよかったと思います。影響といっても、それが当該作品に与えたものはなにかを考えなければなりません。一連の漱石作品を読んで思ったことは、外国文学、特に西洋文学は確かに彼の精神や美意識に影響を与えましたが、それらはそのまま輸入されたのではなく、日本の精神や美意識と見事に融合し、実験的作品を経て、「日本らしさ」の創造に至っているということです。これは近代の作家には共通して見られるものではないでしょうか。その辺りをまとめられればと思います。ありがとうございました。
匿名希望:夏目漱石と諸外国文学の影響はよくみかけますが、絵画からの影響もあったことは興味深いご論でした。他の作品にもいえるのでしょうか。
- 発表者:「幻影の盾」以外にも、「倫敦塔」や「草枕」など、絵画の影響は漱石作品には随所に見うけられます。しかも、西洋絵画のみならず、中国の水墨画や日本画などバリエーションは豊かです。
匿名希望:「幻影の盾」の影響関係についてのレポートとして、諸説の列挙はたいへん基本的な作業であると感じました。もう少しご自身の意見を加えられ、論文として発表されたほうがよかったのではないでしょうか。
- 発表者:今回の論は、初めて近代文学を扱った時のもので、作品の影響関係を把握するので精一杯でした。これを機に、近代文学の論も書いていきたいと思います。ありがとうございました。
■ 感想等
hina:諸説をまとめるのはたいへんですが、研究をしていく上で基本だと思います。これらの基本を経て、毛利さんが以前に公開されたようないくつかの近代文学関係の論文を書かれたのだということがわかり、とても勉強になりました。
- 発表者:ありがとうございます。本来の専門とは少し異なりますが、近代文学では絵画の影響も強く、私自身とても勉強になりました。
■ 発表者から一言
貴重なご意見ご感想、ありがとうございました。今回の論は、以前に公開した近代文学関係の論の下敷きになっていますが、改めて近代文学の奥深さを知りました。また、これに懲りず、いろんな作品を扱っていきたいと思います。
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