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Last Updated 2000/10/25

質疑応答013

幻想の効用:平賀源内『風流志道軒伝』を中心に

毛利美穂に対する質疑応答

→NO.013「幻想の効用:平賀源内『風流志道軒伝』を中心に」


■ 質問

匿名希望:幻想の効果という観点で『風流志道軒伝』と『ガリヴァー旅行記』を比較されていますが、御論にて指摘されているように両者の影響関係は認められません。影響関係のない作品を、類似点がみられるからといって比較するのは安易な方法ではないでしょうか。

発表者:確かに、似ているからといって比較するのは安易な方法かもしれません。ご指摘のように、両作品の影響関係は先人によって否定されていますので、今回は、両作品の影響関係ではなく、同時代に著された作品に見られる構想・表現法の類似・相違点を見ていきました。影響関係があれば、また突き詰めた論が展開できたかもしれません。ありがとうございました。

hina:笑いと諷刺の関係については納得しました。文学における「笑い」はいろいろな要素を含んでいると思いますが、諷刺の他になにがあるのでしょうか。

発表者:例えば呪術的なものでしょうか。天岩戸神話では、アメノウズメノミコトが神懸りした姿を見て八百万の神が笑って、その声によってアマテラスが外に出てくるわけですし、そういう呪術的要素が源となっているような気がします。

■ 感想等

hina:いつも斬新な視点で作品を扱っておられ、たいへん勉強になります。
『風流志道軒伝』と『ガリヴァー旅行記』の影響関係を否定する定説を踏まえつつも、「幻想の作用」という文学論的立場から両者を比較されたのは、おもしろい試みと感じました。

発表者:ありがとうございます。『風流志道軒伝』を読んだとき、すぐに『ガリヴァー旅行記』との類似点に気づきましたが、両者の影響関係が立証できないので比較するのは難しいと考えていました。ただ、表現法から考えると比較することも可能ではないかと思い、まとめた次第です。両作品とも興味深い作品なので、これからも考えていきたいと思います。

■ 発表者から一言

貴重なご意見ご感想、ありがとうございました。今回は近世文学と海外文学の類似・差異点を論じましたが、未熟な点が目立ったように思います。さらに視野を深めていきたいと思います。

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