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Last Updated 1999/11/25

質疑応答002

神性・神秘性からみる「夢」:日本書紀を中心に

毛利美穂に対する質疑応答


■ 質問

匿名希望:夢の公的から私的なものへの変化は、当然といえば当然のことです。だからこそ、その点について言及した論は少ないので、参考になりました。ただ、もっと従来の説の確認・検討があるとよかったのではないでしょうか。

発表者:確かに、従来の説の確認・検討があると、全体像が明確になったと思います。

匿名希望:夢については明恵上人の『夢記』などがありますが、日本書紀だけでなく後世の文献も検討すると、より深みがでるのではないでしょうか。

発表者:日本書紀を中心にしているので後世の文献について検討はしていません。しかし、後世の文献についても、これからは考えていかなければならないと考えています。

匿名希望:聖書にも夢についての記事があります。東西の夢の比較についてはどうお考えですか。

発表者:聖書やコーランについても目は通しました。専門外なので断定はできませんが、文献の性質上、神託夢が主のようですね。東西の比較はたいへん魅力的なのですが、なにぶん浅学の身で、着手はしていません。いつかできればいいと考えています。

匿名希望:「神性」「神秘性」で区別されていますが、記事によっては判断が困難なものもあるのではないでしょうか。もっと詳しく定義付けをしたほうがいいと思います。

発表者:仁徳紀の事例などは、確かに判断が困難です。定義付けも大切ですが、別の視点での検討が必要と思います。

匿名希望:夢は支配者が見るものなのでしょうか。

発表者:いいえ。公的から私的なものへと変化していくにつれて、(文献上のことですが)夢は支配者以外の人にも共有されます。万葉集の夢などがいい例でしょう。3回目の発表で万葉集の夢を検討していますので、お待ち下さい。

■ 感想等

匿名希望:夢の研究は多いですし、公的なものから私的なものへの変遷は確かに自明の理となっています。それをあえて取り上げ、新たに「神性」「神秘性」の区別から見ていったこと、たいへん興味深く思いました。

発表者:ありがとうございます。日本書紀の構成を見ていく題材の一つとして夢を取り上げたのですが、「神性」「神秘性」の区別にたどり着くまでたいへん時間がかかりました。そう感じていただけるとうれしいです。

■ 発表者から一言

貴重なご意見ご感想、ありがとうございました。すでに語り尽くされた感のある「夢」ですが、さらなる発展への見込みができてうれしく思います。現在は「夢」から少し離れていますが、これらを参考にして、さらに検討していきたいと思います。


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