比較文学する研究会
比較文学する研究会:研究者支援プログラム

Since 1999/9/14
Last Updated 2000/9/1

活用ガイド:4.研究会の現状について

「比較文学する研究会」の開設1周年の現状報告。
開設目的等はACADEMIC RESOURCE GUIDEに掲載されていますのでご参照ください。




オンライン研究会の現状・手応え

毛利 美穂

■ はじめに

オンライン研究会「比較文学する研究会」を開設して1年が経つ。当初は、ネット上で研究発表会など可能なのかと不安であり、その不安から広報活動などなにもできなかった。しかし現在、この試みに多くの方が関心を寄せてくださるのはありがたいことである。

論文の一部公開は多いが、全文公開しているところはまだ少ない。さらに、パスワード限定を行わないオンライン研究発表会となれば、国内においてはあまり見られないものである。開設して1年が経ち、反応や現状をこの辺でまとめてみようと思う。


■ 好意的な反応

「あるようでなかったサイト」という反応が寄せられた。アクセス数が少ない割に、サーチエンジンへの登録や、各サイトにリンクを貼っていただいたりして、それらをネットサーフィン中に見つけては驚いていたものである。

あるようでなかった、という評価は、誰もがその存在を求めながらも、やはりオンライン研究会が、研究会としての権威を保つには難しい現状なのであることを実感させられる。インターネットにおいて発表媒体や著作権等の問題がまだ山積みにされているのだ。「自らが欲しい環境を、自らの手で開拓する」方針で運営してきた本サイトだが、世間の風に、論文の全文公開や不特定多数の人間に対する情報(研究成果)発信という点において、時々不安になったりもする。
だが、必要なのは「どのような環境が欲しいのか」ということであって、その環境を提供できることこそが重要なのであり、「研究者支援プログラム」と銘打ったのもそこにあるのだと思い直すのである。
そこに意義があるのかと問われても、そこにどれだけの意義を見出せるのかという問題にぶつかるのではないだろうか。それはインターネットの世界だけでなく、なにげない日常のことにもいえるのであり、改善していかなければならない点や、希望する環境というのは、待っているだけではけっして手に入らないのである。

少なくとも、本サイトへのさまざまな反応は、この試みに対する不安をかき消してくれるものであった。


■ 現場での反応

研究現場において本サイトの存在はどのように意識されているのだろうか。
研究者は、本サイトをどのように受け止めているのだろうか。

実に消極的(消極的にならざる得ない評価もいただいたので)な意見だと思われるかもしれないが、あまり好意的に受け止められていないだろう、もしくは関心を寄せられることはないだろうというのが正直な予想だった。ところが、予想に反して本サイトが研究現場に少なからず影響を与えている現状を確認することができたのである。

現在、インターネット上で研究を公開し、意見を交換することはかなり活発に行われるようになったが、研究論文の全文公開を行っているサイトは、人文系ではまだ少ない。発表媒体における電子メディアの劣勢を思い知らされる。とはいえ、インターネットの普及に対し、国もまたコンピュータの学術利用について動き始めたというのだから、かなり明るい見通しではないだろうか。

本サイトでもすでに第11回発表に対する質疑応答が始まっている。発表については、「一度はしてみたい」という方は多いが、実現までは遠い道のりのようである。けれども、質疑応答では参加者はいるので、関心を持ち、ある程度は注目している方は多いようだ。

現段階では関心だけでも、かなりの成果である。


■ 最後に

学生や研究者、研究に従事する者にとって大切なのはなにか。

本サイトを運営していると、そういったことを常に考えさせられる。発表がなぜ必要なのか、といった質問を受けて「案内ガイド」を設けたが、貪欲に研究生活の充実をはかるのにインターネットの双方向性はとても有効な結果をもたらすのだとしか語ることはできない。結局のところ、自身がその活動に対してどれだけの意義を見出しているのかに関わってくることではないだろうか。


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